
「人生、なんだかツマラナイなぁ」
「他人の目が気になって、自分がしたいことを思い切りできない」
「どうして生まれてきちゃったんだろう」
どうしても上手くいかない時って、よくありますよね。もっとラクに人生過ごしたいないな〜と思うものの、そうもいかないのが人生です。
そんな時に読みたいのが、『自分の中に毒を持て』。こちらは、芸術家の岡本太郎が書いた力強い人生論です。
この記事では、1993年に出版され、今でもロングセラーとして読み続けられている本を、「ろうどうしゃくんたち」が魅力的にご紹介。
「なんだか人生に行き詰まっている」という方は、ぜひご参考ください!
自分の中に毒を持てって、何?
-社内-

おつかれさまでーす。

あ、ろうどうしゃちゃんお疲れさま。
最近帰るの早いんだね。

うん。最近部署で干され気味で、仕事があまり無いのよね。

えぇ〜
大丈夫?
働いてて辛くない?

うん。
なんかもういいかな〜って感じ。

それは大変だなぁ。
よし、今日は居酒屋でストレス発散だ!

予定もないし、いいわよ〜
-公園のベンチ-

どこも居酒屋やってなかったね。

うん。今は緊急事態宣言中だから仕方ないわね。

まぁ、ポカリで乾杯でもしますか。

アスリートになった気分ね。

かんぱ〜い。
それにしても、いつも頑張ってるろうどうしゃちゃんが、仕事で干されちゃうなんて嫌な感じだね。

新しく出向してきたディレクターが私のこと嫌いみたいなのよね。

えぇ〜
誰からも人気あるろうどうしゃちゃんのことを嫌うだって?

そうなの。そいつは「誰からも人気あるやつが嫌いな人」らしくて、「誰からも人気ある私」はお手上げ状態よ。

自分で言ってる。

とにかくまぁ、そんな感じでやりがいある仕事もらえてないから、最近やる気がないのよね。

ろうどうしゃちゃん、それで本当にいいのかい?

え、怖。
急に誰このオッサン。

あ、ろうどうしゃちゃん!
暗くてよくわからなかったけど、上司の田中さんだよ。

あ、田中さんか。
すみません。気づかなくて。

ちょっと傷ついたけど、急に話しかけたぼくが悪いよ。
ところで、話が少し聞こえてたけど、ろうどうしゃちゃんそれで本当にいいのかい?

え。

ぼくは不可能を可能にしてきたろうどうしゃちゃんがまた見たいな。

田中さん…。

元気が出そうな本があるから、時間ある時に読んでみてよ。

この本、なんですか?

「芸術は爆発だ!」のフレーズで有名な岡本太郎の本だよ。
おじさんのバイブルなんだ…。

なんか暑くるしそうな本ですね。

こら、ろうどうしゃくん思ってても言っちゃダメよ。

まぁ、タイトルみたらそう感じちゃうよね。
みんなは岡本太郎は知っているかな?

知ってる!太陽の人ですよね!

惜しい。「太陽の塔」をデザインした人だね。
岡本太郎のカンタンなプロフィールはこんな感じだよ。
岡本太郎(1911-1996)は日本を代表する芸術家。父親は漫画家の岡本一平、母親は歌人の岡本かの子。若い頃パリに渡り、勉学の傍ら、ジョルジュ・バタイユらと親交を持った。大阪万博のテーマ展示プロデューサーに選ばれ、巨大なモニュメント「太陽の塔」をデザインした経歴も持つ。

知ってる!芸術は爆発だ!の人ですよね!

ろうどうしゃくん、それさっき田中さん言ってたわよ。

あ、そうだった。
すみません。知ったかぶっちゃって。

いいんだよ。
岡本太郎はね、「人生に挑み、ほんとうに生きるには、瞬間瞬間に新しく生まれかわって運命をひらくのだ(岡本 太郎. 自分の中に毒を持て<新装版> (Japanese Edition) (Kindle の位置No.42-44). Kindle 版.)」というようなことを言ってるんだよね。

めっちゃ強気ですね。

こいつ、会社で働いたことあるのか?

二人とも落ち着いて。

だって、いきなりリアルじゃないんですもん。

親がお金持ちだからこういうこと言えるんじゃないですか?

二人とも辛辣だなぁ。
岡本太郎はね、フランスで12年間過ごしていた後、太平洋戦争がはじまる直前に日本に帰ってきたんだ。三十歳を過ぎて、若者と一緒に初年兵訓練を受けたりと、かなりシゴかれたみたいだよ。

めっちゃ大変そう…。

パリの自由な生活から、突如戦争生活だなんて、30歳過ぎてブラック企業に入社したようなもんよね…。

この本で、当時は相当キツかったと岡本太郎は回想しているね。
そんな太郎が「危険な道をとる」と決意したのは、 二十五歳のときだったようだよ。
ぼくが危険な道を運命として選び、賭ける決意をはっきり自覚したのは、二十五歳のときだった。パリで生活していた頃だ。
それまで、ぼくでもやっぱり迷いつづけていた。自分はいったい何なのか、生きるということはどういうことか。(中略)絵描きは絵の技術だけ、腕をみがけばいいという一般的な考え方には、ぼくはどうしても納得できなかったのだ。
しかしそれは極めて危険な問いだ。芸術ばかりではない。他の部門のあらゆる専門家、さまざまの企業内の社員でもみんなそうだと思うのだが、この道一筋、ただ自分の職能だけに精進すれば尊敬もされる、報われもする。
それを根本的に疑ったり、捨ててしまえば生きてはいけない。食ってもいけないということになる。
(岡本 太郎. 自分の中に毒を持て<新装版> (Japanese Edition) (Kindle の位置No.84). Kindle 版.)

この悩み、わかる〜

ぼくはいまだに迷い続けているよ。

太郎はごまかすことができないタイプだから、夕方のカフェテラスであれかこれか悩んで、こう決断したんだ。
「危険な道をとる」
いのちを投げ出す気持ちで、自らに誓った。死に対面する以外の生はないのだ。その他の空しい条件は切り捨てよう。そして、運命を爆発させるのだ。
戦後の日本でぼくの果たした役割、ポジションはその決意の実践だった。
(岡本 太郎. 自分の中に毒を持て<新装版> (Japanese Edition) (Kindle の位置No.109). Kindle 版.)

太郎〜

この本は、太郎が生涯を閉じる3年前に書かれたものなんだ。この本全体に渡る燃えたぎる熱いメッセージは、人生がツラいときにこそ響くよね。

なんか、人生を投げやりに考えていた自分が恥ずかしくなりました。

ぼくもなんだかやる気が出たよ!

今日は長々とありがとうね。それじゃあ、この本あげるよ。
社会対個という問題はさけて通ることができない。大きな、重い、人間の宿命だ。
しかし、この闘いはキツイ。妥協、屈辱の結果、欲求不満、いらだち、告発が群がりおこる。そして、社会のモラルがすり切れた布袋みたいにピリピリ裂け破れはじめているのが、近ごろのいじめや家庭内暴力をはじめ、卒業式騒動その他だ。ぼくが子供心に、孤独の中に抵抗していた虚偽、それへの忿懣が次第にあらわに社会現象になってきていると思う。
この世に苦しみ悩んでいるのは決して自分だけじゃない。
世の中の人ほとんどが、おなじ悩みを持っていると言ってもいい。
岡本 太郎. 自分の中に毒を持て<新装版> (Japanese Edition) (Kindle の位置No.869). Kindle 版.
純粋に強烈に生きようとすればするほど、社会のはね返しは強く、危機感は瞬間瞬間に鈍く、目の前にたちあらわれるのだ。
いつでも「出る釘は打たれる」。
だからといって気を遣って、頭を引っ込めてしまっては、人間精神は生きない。逆に打たれなければー。「打ってみろ」と己をつき出す。打たれることによって、自他をひらくのである。ますます拡大して爆発する存在になるのだ。
岡本 太郎. 自分の中に毒を持て<新装版> (Japanese Edition) (Kindle の位置No.969). Kindle 版.

このような熱いメッセージのほかに、「愛」について語っていたり、「個性の出し方」について語っていたりと、人生のヒントになる話がたくさん書いてあるよ。

田中さん、今日はありがとう!
家に帰って早速読んでみるわ。

読み終わったら、ぼくにも貸してね!
まとめ
-1週間後-

ろうどうしゃちゃん、元気になったみたいでよかったね。

あ、田中さん!
これも岡本太郎効果ですね!

ぼくはキッカケを与えただけに過ぎない。
運命に立ち向かうと決意した、ろうどうしゃちゃん自身の力だよ。

田中さん…。

あんなイキイキしてるなら、あとはもうぼくの出る幕はなさそうだね。

色々とありがとうございました!
ところで、田中さんはどうしてろうどうしゃちゃんにあの本を紹介したんですか?

「ろうどうしゃちゃんに元気を出してほしい」と思ったのがまず一つ。
あと、「なぜか彼女の仕事がぼくに回ってきてて、大変になっていたから」というのがあるね。

大人って、ズルい…。