
「働いても働いても、暮らしがラクにならない」
「一体何のために働いてるんだろう?」
「今頑張って働けば、きっと良い未来が待ってるはず」
社会人って大変ですよね。働いても働いても生活はラクにならず。しかし、働くのをやめたらお金が入らなくなり、生きていくことが困難となります。
「一体どうやって生きていけばいいんだろう?」と悩んだ時に役立つのが、こちらの『サボる哲学 労働の未来から逃散せよ』です。この本はサボることの大切さを私たちに教えてくれます。
アナキズムを研究している政治学者。『大杉栄伝 永遠のアナキズム』『はたらかないで、たらふく食べたい』など、多くの著作があります。
昨年とても話題になった『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』の著者、デヴィッド・グレーバーは「近代的資本主義は単に古い奴隷制の新しい姿である」と言っています。
これは、人間が人間を支配するシステムが、現代もなお形を変えて行なわれているということ。
栗原康は、「将来のために、ぼくらのいまが犠牲になる。人生が将来に直結させられる。労働とは『時間による支配』にほかならない」と人間を縛る労働システムについてこう指摘しています。
サボるとは、こうした「労働の論理」を自分の体から追い出すということ。
「今の仕事が辛い」
「寝ても覚めても仕事のことばかり考えてしまう」
このようにお悩みの方は、本記事をぜひご参考ください。
サボる哲学って、何?
-社内-

う〜

あら、どうしたのろうどうしゃくん。そんな唸っちゃって。

今22連勤中で、ちょっと疲れがたまってるんだよね。

え、おかしくない?
体大丈夫?

心配してくれてありがとう〜。
寝ても覚めても仕事、仕事、仕事。ぼくのHPはもう0だよ…

忙しすぎよね。
新規プロジェクト、そんなに大変なんだ?

人手が足りなくて、もうてんやわんやなんだよね。

ちょっとは休んだ方がいいんじゃない?

でも、ぼくが休んだら、プロジェクトが進まないんだよ…。

やれやれ。
今のろうどうしゃくんに必要なのは、「サボる哲学」みたいね。

サボる哲学?

そう。この本を読むことをおすすめするわ。

この本なぁに?

この本は、資本主義の歴史を紐解いて、私たちがどういった社会に生きているのかが書かれている本なの。ただ漠然と「働くのが辛いな〜」と思ってるろうどうしゃくんに、「サボることの大切さ」を教えてくれる本だと思うわ。

でも、サボるのは良くないと思うよ。

栗原康さんはこのようなことを言ってるわ。
はたらいてカネを稼がなければ生きていけない。賃金をもらわなければ生きていけない。死ぬぞ。いちどその恐怖に囚われたら、あとはもう工場や会社の奴隷である。どうかわたしを雇ってください。賃金をいただくためには、ご主人さまの命令になんでも従います。古い奴隷制のあたらしい姿、「カネによる支配」だ。もっとがんばってはたらいて、もっとカネを稼げるようになりたい。自分のはたらきを、労働力商品としての価値を高めたい。わたしはつかえる商品だ。人間が「商品交換」の論理でうごくようになっていく。その金額で人間の価値がはかられるようになっていく。
参照;サボる哲学 労働の未来から逃散せよ 栗原 康

でも、働かないとお金もらえないから仕方ないよね。

この本ではこんなことも言ってるわ。
そんなことを言うと、よくおまえはカネがほしくないのかと言われるのだが、そうではない。カネはほしい。というか四六時中、カネのことばかり考えている。いつもだれかカネをくれないかとか、友達にレディ・ガガがいればいいのにとかそんなことばかりだ。だけど嫌なのは、この資本主義ではカネが生きる尺度になっていることだ。人間が商品価値で選別されることだ。まっとうな人間はこれくらい稼げなくてはいけない、これくらいのモノは買えなくてはいけない。できないやつは落ちこぼれ。そうやって、労働や消費でヒエラルキーをつくられてしまうのが嫌なのだ。
参照:サボる哲学 労働の未来から逃散せよ 栗原 康

たしかに、社会人って稼げてない奴はダサいっていう価値観あるよね。

栗原さんはその後、「カネによる支配に反対するというかたちで、カネにふりまわされるのが嫌なのだ。もっと自分の身体に素直でありたい。カネはいらない、カネがほしい。矛盾を抱いて飛べ」と続けているわね。

めちゃくちゃ矛盾してるけど、気持ちわかるよ。ぼくも自分のやりたいことに素直でありたいもん。
ところで、この話とサボることがどう関係してるわけ?

栗原康さんは、労働とは「時間による支配」にほかならないと言っているの。自発的にサボることで、労働の論理に支配された自分の体が戻ってくる。例えるなら、「あれしなさい、これしなさい」と命令される体から「あれしたい、これしたい」と自発的な欲求がもたげる体に戻るということかしら。

なるほどね。たしかに、仕事ばかりだと「やらなきゃ!」っていう考えに体ごと支配されてる感じになるかも。
でも、社会ってそんなに甘くないと思うんだよなぁ〜

ばかね。ろうどうしゃくんがサボったぐらいでどうにかなるほど社会は甘くないわよ。

たしかに…。

この本は古今東西の仕事をサボった人たちの例がたくさん出てきて、とても面白いわよ。

たとえば?

工場労働者が工場を壊してサボった例とか、逃亡奴隷の例とかね。

勇ましいね。

他には、仕事をサボって殺されちゃう人も出てくるわよ。

こわ

まぁ、サボりに歴史ありってことよ。
「こういう選択肢もあるのか」っていうのをいくつも自分の中にもっておくと、人生生きやすくなるわよ。

たしかに、「働かないと死ぬ」って考えしか持ってないと、働きすぎて死んじゃうかもしれないもんね。
参考にしてみるよ。
エピローグ
-2週間後-

テレテテッテッテー♪

おはよーろうどうしゃくん。
あら、会社でニンテンドースイッチなんかしてどうしたの?

ちょっとサボタージュしようと思ってね。

なるほどね。
なんだか方法が間違ってるような気もするけど…。

ろうどうしゃくん。社内でゲームはダメだよ。
会議室来なさい。

はい…。

言わんこっちゃない。